卒園前に

それ、忘れちゃうからメモメモ!と言われ、思い続けるもその素敵なちいさな出来事をメモすることで、日々起きている涙が出そうに幸せで微小なたわいもないことの積み重ねが消えてしまうような気がして頑なに記録を残してこなかったのかもしれないな、などと考える。

ここのところ、宮崎、鹿児島、韓国と旅行などしていたこともあり、日々をこなすことに精一杯、花粉のせいか頭もぼんやり。思考ははち切れそうに混乱していて、懇談会で3年間の振り返りを…と言われたときには頭はパニック、なにも浮かんでこなかった。

私は大磯に越してきて、子育てに全力でかまけるという幸せな日々をおくらせてもらい、理想としていた子育てに極めて近い環境で子どもたちと3年間べったり過ごした。喜びも大変さも振り幅が大きく刺激的な毎日。幸せなことこのうえなし。私は夢を叶える力があるのではないかとすら思うようになるほどに。


昨日いおりが言っていた。年中の時は早く大きくなりたかったけど、今はしんじろうとしゅんの親友ができてカラカラ積み木したり毎日が楽しくて卒園したくない、と。なんとも素晴らしいことだ。
勉強が不安、というのも意外だった。外にださないあたりいい男に育っている感じがして気に入っている。

山を下ったところの整地をしている現場に新しい作業員さんたちと重機が。毎日かおを合わせて挨拶したり話をしていた石垣をつくっている頭にタオルを巻いた歯のない工事現場のおじさんがいない。石垣づくりは終わって次の工事が始まったのかな?と話していたら、ポケットに手を突っ込んだいおりはさようならを言いたかった、言っておけばよかった、と下を向く。春は出会いと別れの季節なのだ。別れて、手放して、新しいものをぐんぐん手に入れていくのだと少し感傷的になり3人で小さな雲がうかぶ青空を見上げた。

幼稚園に子供を送ったあと、通りがかるといつものおじさんたちは元気に石垣を積んでいたのだが。


たおちゃんは、ぼくももう少ししたらみんなみたいにここの髪の毛はえてくるかなぁ。とおでこを触る。
キュン死させる気か。

たおは、思いおこすと1年前、おはようと言われても固まって声がでなかった。今は、不自然なオハヨーと笑顔で登園していく。昨日驚いたのはたおが誰よりも前で誰よりもいい笑顔でダンスしていたこと。もじもじ引っ込み思案で自意識の強いめんどうな人かと思っていたが、どうやら私とは違うようだ。愛おしい。